50歳からの仕事を考えたときに起業という選択はアリか?

今、会社勤めをされていて「これから仕事どうしようかな?」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?でも50歳に差し掛かると安易に転職を考えられないで悩んでいる方もいらっしゃるといると思います。そこで今回は、50歳になったら転職ではなく、起業という選択肢も視野に入れ、その場合にどのようなことを考えたり準備したりしたらよいかを説明していきたいと思います。一度きりの人生で新たなチャレンジのアドバイスになればと思います。

60歳を過ぎると半数以上の人が継続雇用してもらう時代!そこにやりがいはある?

厚生労働省が令和元年11月に発表した「高年齢者の雇用状況」によれば、高齢者雇用確保措置をとっている企業の77.9%が、再雇用制度などの「継続雇用制度の導入」を実施してきました。つまり、半数以上のシニア職員が継続して企業に勤める時代なのだといえます。その一方で、シノアノミライの前回記事では、高年齢者雇用安定法の改正以降、シニア社員が要職から外されやすくなっている状況を取り上げました。(https://senior-no-mirai.jp/know-how/idea/idea-01/)また、シニア社員を非正規で契約したり、役職から外したりするケースも増えてきています。この段落では、シニア社員が勤め先で重要なポジションを任されなくなっている傾向について解説します。

#企業でやりがいを感じられないシニア職員

シニアノミライでは、シニア職員の多くが企業で働くことにモチベーションを見いだせなくなっている現状を問題提起してきました。その原因は、前回記事でも書いたように高年齢者雇用安定法の改正です。改正によって70歳までのシニア職員は就業機会が確保されるようになりました。しかし実際には、正規から非正規雇用へと切り替えてシニア層に残ってもらう企業も少なくないのです。これまで管理職として働き、重要な仕事を任されてきたシニア職員なら、非正規雇用では以前ほどの責任とやりがいを感じられないでしょう。

さらに、「学習機会の減少」も、やりがいを失う原因のひとつに挙げられます。2019年に行われたアデコ株式会社のアンケート調査によると、継続雇用制度を利用して働くシニア職員のうち、「学習や訓練の機会を得ている」と感じている回答者は20%もいませんでした。ビジネスシーンではIT関連やマーケティングなどの分野が、日々進歩を遂げています。それでも、もともとこれらの知識に詳しくなかったシニア職員は、継続雇用されてもなお、企業から学ぶ時間を与えられず、業務から取り残されていく現象が起こっているのです。その結果として、モチベーション喪失につながっているといえるでしょう。

#ギャップによる居心地の悪さ

シニア職員のやりがいに関係する問題として、若手社員との「ギャップ」も無視できません。シニア職員として継続的に働くということは、当然ながら若手職員と一緒の職場にいる状況を意味します。しかし、シニア職員がいかにやる気を持っていたとしても、若手社員の中には「人件費が無駄になっている」「周りが気をつかう」とシビアに考えている人もゼロではないのです。また、「これまで会社からさんざん給料をもらってきて、まだ吸い取るつもりなのか」と思う若手もいるでしょう。こうした若手にとって、シニア職員は自分たちの取り分、仕事を奪っている存在に見えていることもあります。

世代間のギャップだけでなく、時代性のギャップも要注意です。令和以降の若手社員には、年功序列の意識が薄くなっているケースも少なくありません。むしろ、欧米企業的な能力主義、成果主義がしみついている若手もたくさんいます。このタイプからすれば、重要な仕事も任されないまま企業に居残っているシニア層は、好意的に受け止めにくいのです。若手社員から批判的な態度を向けられながら働いていると、やりがいを失うシニア職員は出てくるでしょう。そして、「自分は職場に必要とされていない」という喪失感が大きくなってしまいます。

定年後の起業ではいつからどのような準備が必要か?(1.資金面)

やりがいを保ち続けたままシニア層が自由に働くのであれば、起業がおすすめです。この段落では、シニア層の起業に必要な準備の詳細について説明していきます。

#起業準備では資金集めが重要

起業にはさまざまな準備があるものの、最重要といえるのは「資金集め」です。資金がなければオフィスも設備も整えられませんし、従業員も雇えないからです。必要な資金額は、個人事業主を目指すのか店舗にするのかで変わってきます。また、業態だけでなく業種によっても額は異なるでしょう。たとえば、シニア層になってから自宅でコンサル業務を営む人は少なくありません。こうした企業の形態であれば、必要になるのは自分の知識だけです。自宅の環境で十分働けるので、開業資金はほぼ0円です。

それに対し、飲食店や小売業などで店舗を持ちたい場合は、数千万円規模の資金が必要になることもあります。まずは自分が何をしたいのか明確にし、「いつまでに」「何を」「どれほど」調達するのか計画しましょう。そのうえで、具体的な資金を算出し、調達へと動いていきます。もちろん、手元に十分な資金がなくてもとりあえず起業してみる方法もあります。ただ、資金不足のまま事業を開始するとすぐにランニングコストがショートして、失敗するリスクが高くなるのです。起業にあたっては、資金を計画的にしっかり確保しておくことが大切です。

#資金不足ならどうするの?

もしも起業しないのに資金が不足していたとしても、乗り切る方法はいくつかあります。以下、代表的な4つの方法を紹介していきます。

① 資金の範疇の規模に縮小して事業をスタート

いきなり理想の規模から事業を展開せず、とりあえずの資金に見合ったところから始めるやり方です。そのうえで、事業拡大と合わせて店舗やオフィスの規模もレベルアップさせていきます。この方法なら、軌道に乗る前のランニングコストも抑えられます。とにかく早く起業したい人にはおすすめのプランです。

② 補助金、助成金の活用

シニア層には起業の際、利用できる補助金や助成金があります。資金不足を補う選択肢として検討してみるのもひとつの方法です。たとえば、厚生労働省は、40歳以上の起業をサポートする「中途採用等支援助成金」を設けています。これは従業員の教育訓練にかかる費用の一部を助成してもらえるシステムです。そのほか、自治体ごとに補助金や助成金を設けているケースは多いので、まずは地元の役所の産業課に相談してみましょう。

③ 金融機関による融資

銀行などの金融機関も起業に融資してくれることがあります。そのかわり、根拠を持って収支を説明するための事業計画が必須です。

④ クラウドファンディングの活用

専用サイトでクラウドファンディングを活用し、資金を募ることも可能です。クラウドファンディングで集まるお金は借金ではないので、返済の義務が生じないのはメリットになります。ただし、出資者に対してのリターンを用意し、必ず提供することを忘れずにおきましょう。

定年後の起業に際し、これら4つの方法の中では①の「資金の範疇の規模に縮小して事業をスタート」が無難だといえます。しかし、事業収益が確実に見込めているのなら、金融機関などから資金提供を受けてもいいのではないでしょうか。

(原稿提供:合同会社C&Cコーポレーション 加藤裕一郎様)
https://senior-no-mirai.jp/pr/c-and-c/

定年後の起業ではいつからどのような準備が必要か?(2.事業計画)

資金を募ったり、必要な許認可を取得したりするために不可欠なのが「事業計画」です。また、事業の方針を深く考える際にも事業計画は欠かせないといえるでしょう。ここからは、シニア層の起業における事業計画の作成方法について解説します。

#事業計画の必須項目

最低でも入れておくべき事業計画の項目は「社名と住所」と「事業主の経歴」です。これらの基本情報は書面を作るうえでの大前提です。次に、「理念」「事業内容」「商品やサービス」などを記載し、具体的にビジョンを伝えます。これらに加えて、「市場動向や競合分析」「資金計画」「収支計画と売上目標」なども外せません。そのほか、人材や備品の調達方法もあるとより精度の高い計画書になります。

事業計画は必要項目を箇条書きにすればいいわけではなく、出資者の視点が肝心です。出資者が魅力的に思ってくれないようなら、事業計画は失敗だといえます。たとえば、商品やサービスを強みとともに紹介してみましょう。同業他社との差異がはっきりしていないと、出資者はお金を出しにくいからです。さらに、市場動向を深く掘り下げていくことで、「なぜこの業界で起業したいのか」という根拠を示せます。

その中でも、資金計画と収支計画は特に具体的な説明を求められる項目です。どこからどうやって、いくら調達するつもりなのかを詳しく述べましょう。そのうえで、「これだけの資金があれば利益をいくら出せるのか」まで説得力を持って提示することが大事です。

#資格や趣味を生かす

事業計画を書くにあたって、本人の資格や趣味を生かせるようにしましょう。シニア層の起業では、これまでの経験値をチェックされています。人生で積み重ねてきたスキルを証明するためにも、資格や趣味を記載しておくことは重要です。法律の資格があれば、「健全な経営ができる」との根拠になるでしょう。陶器などのコレクションをしてきたのなら、「豊富な知識があって商材とすることに不安はない」と訴えられます。出資者の視点を考えながら、アピール材料になる資格や趣味を書いていくのがコツです。

#事業計画で特に記載したいポイント

マーケティングや会計などの知識は、事業計画書に載せておきたいポイントだといえます。なぜなら、これらのスキルは経営者として不可欠なものだからです。事業主自身がマーケティングや会計に詳しくない場合は、第三者の力を借りてみましょう。税理士やコンサルタントと契約し、事業を助けてもらうのは代表的な解決策です。あるいは、ファイナンシャル・プランナーが起業をサポートしてくれることもあります。シニアノミライでは相談先を多数掲載しているので、事業計画作成の役に立ててみましょう。

定年後の起業ではいつからどのような準備が必要か?(3.人脈づくり)

起業では専門家との「人脈づくり」が今後の展開に関係してきます。以下、シニア層の起業における、人脈づくりの重要性について解説します。

#シニア層は人脈で有利

長い社会人経験を持つシニア層は、若年層よりも豊富な人脈を持っているケースが少なくありません。会社員時代に要職を担っていた人であれば、さまざまな業界の専門家とつながっていることもあるでしょう。これらの人脈は起業の際、大きなアドバンテージになります。業界の貴重な情報を教えてもらえるので、経営に失敗するリスクを減らせます。もちろん、ゼロから専門家との人脈を作ることも可能です。ただ、それにはかなりの時間がかかり、起業までの準備が長引いてしまいます。スムーズに起業するためにも、シニア層の人脈は有効活用していきましょう。

#起業や経営の人脈がないなら?

自身の仕事に関係する情報や人脈はあっても、起業や経営の専門家とはつながってこなかったシニア層も少なくありません。これらの人脈は、事業計画や資金調達の段階で力になってくれます。また、開業後も経営について的確なアドバイスを与えてくれるでしょう。つまり、起業や経営の人脈がないことで、独立後に苦労してしまうシニア層は少なくないのです。逆をいえば、起業に必要な仲間をはっきりと想像し探す場所が分かっていれば、起業に大きく生かせます。その段階で、事業の未来の半分は見えてくるといえるでしょう。

そのようなときに利用したいチャンスが「異業種交流会」です。異業種交流会では各分野の経営者が集まり、情報交換を行っています。人脈づくりの場として参加している人もたくさんいます。起業をするつもりなら異業種交流会に足を運び、求めている専門家がいないか探してみましょう。なお、シニアノミライでもいくつかの異業種交流会と提携してきました。人脈づくりをしているユーザーに向けて、ぴったりの団体を紹介することが可能です。気になる人は電話や問い合わせフォームから、気軽に連絡してみましょう。

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