シニア起業とは“人に何かを伝える”こと。
覚悟を持ってドローンによる社会貢献を実現したい。

ドローン・アイティー株式会社代表金子 信洋さん
ドローン・アイティー株式会社 代表 金子 信洋さん

IT系企業を退社後、IT連携、スクール事業などを柱とする会社を立ち上げた金子さん。ドローンを使ったゴルフ場管理ソリューションは神奈川県のモデル事業にまでなっていますが、ここに至るまでには様々な試行錯誤があったようです。

起業したきっかけを教えてください。

金子 信洋さん

2018年に役職定年を契機に会社を辞め、同じ年に個人事業主として起業しました。「自らの意思で納得するまで働き続けていたい」思いが強かったため、再就職はほとんど考えませんでした。 2012年くらいから起業の構想は持っており、準備を進める課程でドローンを事業の柱にしていこうと考えていました。起業する際には様々なアイデアがあるでしょうが、自分が経験した業種の方がやり続けられますし、単純にドローンを飛ばすのが好きだったのです。ドローンが得たデータを、いかに企業の基幹システムにつなげてビジネスにするかにも興味がありました。

あなたの事業内容と、他社にない強みを教えてください。

基本的にはB to Bのビジネスモデルで、ITを含めたドローンのソリューションと、ドローンスクールによる技術や人材の育成によって、企業の業務にドローン活用を支援する事を生業にしています。 強みは、ドローンにIT技術を用いている事と、「飛ばす+ビジネスへの応用」が可能なドローン技術者の育成ができる事と自負しています。一般的なドローン学校は3日間ほどで認定をもらえます。今は機械の性能が良いので誰でも飛ばせますが、実はいざ仕事で使う際に求められる技術はもっと高度です。弊社は基礎技術はもちろん、ITソリューションへの展開までフォローできます。 加えて、ドローンの業務利用において「やった事・分かった事・次にやる事」を整理できるクラウドサービスを持っていることも弊社の強みです。これは、静岡県で災害対策や道の管理に使われている「WI RE」というサービスです。例えば、農薬を散布した効果、ゴルフ場や道の危ない箇所のマッピングといったデータをクラウド上に蓄積して、業務の改善につなげることができます。

起業準備の中で困ったことはありますか?

無理が利く年齢でもありませんし、活動の中心は横浜にしたかったので、「地域とのつながりをどう持つか」が課題でした。あとは士業さんの人脈は課題でした。会社経営で支援いただくケースが増えると思っていましたが、会社員の時には知り合う機会がなく、自ら進んで人脈を作る必要がありました。スクールや会社の所在地をどこにするのかにも悩みましたね。特にスクールの開校に際しては、講義ができてドローンを飛ばせる場所が必要になり、自宅で起業というわけにはいきませんでした。

起業準備にあたり相談した専門家や知人はいましたか?

起業に際しては、2013 年からシニア起業のサポートをしている「銀座セカンドライフ株式会社」にアクセスして、セミナーや交流会へ参加し、著書を読んでインスパイアされました。 その中で、「異業種交流会」の活用も重要だと考える様になり、前職中からできる範囲で参加してきました。BNI※に参加した動機も、会社の利益のためというよりは、ドローンに関する意見を聞きたかったこと、士業( 行政書士、弁護士、税理士)の方々や、横浜でバリバリやっている個人事業主の皆さんに人脈として会いたかったという気持ちでした。 ※BNI:ビジネスの人脈を紹介し合う経営者の会

金子信洋さん

公的な補助金制度は活用されましたか?

起業時に活用したのは「横浜市創業支援等事業計画」です。ドローンはノーマルのものは20~30万円ですが、農薬散布機などは数百万円になるので、設備投資をするには補助金を活用しようと思っていました。結果的に資金援助を受けられたため、合同ではなく株式会社として開業できました。 起業に際しての補助金は、事業計画の中で1期を経た後としていましたが、今回のコロナ禍を受けて、「持続化補助金」、「県企業再起促進事業費補助金」も申請しています。当初計画では、2期目に入って「IT導入補助金」、3期目で「ものづくり補助金」を考えていました。

起業して環境面などの変化はありましたか?

人の協力なくしては何もできない事を改めて認識し、いつも感謝してします。実は起業の際に懸念だったスクール会場は、飲み仲間の人脈から偶然「上大岡のバッティングセンター」を紹介してもらえるご縁がありました。奇跡的なものを感じています。 あとは仕事を休まなくなった事ですね。休日の感覚がありません( 笑)。

金子信洋さん

今後の展望をお聞かせください。

ゴルフ場のコース管理にドローンを活用する取り組みは、おかげさまで神奈川県のビジネスグランプリで奨励賞をいただきました。今後は、ゴルフ場向けソリューションの展開を加速していきます。加えてドローン・スクールを核とした、教育関係の仕事の幅も広げたいと考えています。現在はドローンの操縦やI T 活用のみに留まっているコースを、屋根点検や農薬散布など、使途に応じたバリエーションで増やしていきたいです。あとは、もう少し神奈川の子供達にドローンを知ってもらい、将来的には自動車免許のようにドローン免許を持っていることが就職に有利になるように認知度を高めたいですね。

これから起業するシニア起業家の方へアドバイス。

金子信洋さん

私はシニア起業を「人に何かを伝える」ことだと捉えています。定年後に起業されようとする方は、得意分野を活かしたり、未知の分野への挑戦だったり様々な選択肢があると思います。一方で「何をしていいか分からない」という方も多いでしょう。そんな時は、自分が伝えられること、伝えたいことは何かと考えてみるとヒントになるのではないでしょうか。 実は、私自身も日々不安で「この先どうしようか? 」と常に考えています。ですが、好きなことなのでやりがいがあって頑張れる。そのかわりに24 時間働くようなつもりでいます。シニアであったとしても、起業家となれば覚悟が必要になります。事業計画をちゃんと見直すとか、辞め時はここだと決めておくとか、ある程度まで収入がなくても気持ちを切らさずに頑張るとか、まず踏み出す前に自分自身に覚悟を問うてみる必要もあると思います。

【掲載企業情報】

事業所名 ドローン・アイティー株式会社
住  所
〒220-0004 神奈川県横浜市西区北幸1丁目11番1号 水信ビル7階
電話番号 045-515-2285(代表番号)e-mail:info@dorn-it.jp
編集:株式会社ブランブランシュ

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